絶滅した家畜牛の祖先 オーロックス

家畜牛の祖先オーロックス

現在、世界中で飼養されている家畜牛の祖先はオーロックスと言われています。体長が250~310cm、体高140~185cm、体重600~1,000kgの大きな牛だったようです。体毛は黒褐色で巨大な角が特徴です。大きな個体では体高が2mを越えていたという節もあります。

オーロックスは、新石器時代にはユーラシア大陸や北部アフリカ大陸に生息していましたが、中世になるとヨーロッパ平原でしか見られなくなりました。激減してしまった原因は中世時代に乱獲や諸侯の狩猟の対象であったこと、家畜化されて消滅していったことが挙げられます。1564年の個体数調査では38頭まで減っていて、1627年に最後の1頭だったメス牛がポーランドの森で死亡して絶滅しました。

15000年前のラスコーの壁画に描かれており、その頃には人間との関わりが深かったと考えられています。

狩猟目的の保護区

中世時代には、激減したオーロックスを密猟者から保護するために保護区が設置されました。しかしながら、この保護区は諸侯たちが独占的にオーロックスの狩りを楽しむためのものだったようです。体が大きい上に素早く動くオーロックスは格好の狩りの獲物だと考えられていました。

一つの保護区のオーロックスを狩り尽くすと、別の保護区の確保を目指すという流れだったようです。こうして個体数は更に激減し、1620年には最後の1頭となりました。1頭では繁殖できませんから、最後の1頭が1627年に死亡して絶滅となったわけです。

オーロックスの復元

1627年に絶滅したオーロックスは、1632年に復元に成功されています。復元したのはドイツの有名な兄弟動物園長のヘック兄弟です。オーロックスの特徴をよく残している複数の品種を交雑して復元された牛の子孫は、ドイツの動物園で見ることが出来ます。

しかし復元されたものは原牛に比べるとずいぶん小さく、体高は160cm程度のようです。また、特徴はよく似ているものの、絶滅したオーロックスとは似て非なるものであることからオーロックスではなく、『ヘック・キャトル』とも呼ばれています。

絶滅した生物は二度と地球上に現れない

言うまでもなく、絶滅とは、生物のひとつの種が絶え滅ぶことです。一度絶滅した生物がこの地球上に再び姿を現すことはありません。生物が絶滅するのは、恐竜時代には1000年に1種類程度の絶滅だったと考えられています。ですが、1975年には1年で1000種まで急加速し、現在では1年で40,000種が絶滅していると言われています。

近い将来、ほとんどの生物が消えてなくなってしまうのでないかと心配になるのは私だけではないと思います。原因をつくってきたのは、紛れもなく我々人間です。食用、毛皮を目的した乱獲、密漁。土地開発による生物の生息地の消失、外来種を持ち込むことによる生態系の崩壊、とどまることを知らない環境破壊のツケは我々にも及んでいます。

動物ほとや自然保護の第一歩は、現状を知ることです。絶滅という悲しい運命をたどったオーロックスをきっかけに、危機に瀕している動物たちに目を向けていただけたら嬉しいです。

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