犬と人の必要な栄養素は異なる
TVドラマなどを見ると、捨て犬に牛乳を与えているシーンを見かけることもありますよね。犬は本来、肉食獣ですが、長い期間ペットとして人間に飼われてきたことで雑食性も強くなっています。ですから、人が食べるものであれば、たいていは食べることができます。ですが、人と犬とでは基本的に体の構造が違いますから、必要な栄養に関しても異なっています。
例えば、犬は人間の3倍以上のタンパク質を必要としますし、カルシウムについては人間の約14倍必要と言われています(同体重当たりでの比較です)。つまり、犬には犬に必要な栄養素を考えて与える必要があるということです。それでは牛乳はどうなのでしょうか?
犬に牛乳を与えても大丈夫?
乳製品はすぐれたタンパク源で、カルシウムやビタミンAを豊富に含んでいます。しかし、牛乳は犬の母乳とも栄養成分が違っています。牛乳中に含まれるラクトース(乳糖)含有量は犬の母乳の約3倍です。ですから、乳糖を分解する酵素不足のために下痢を起こしてしまう犬も多いので注意しないといけません。
犬にはあまり牛乳を与えないほうがいいと言われているのはこれが理由です。
子犬は母犬の母乳を飲んで育つために乳糖を分解するラクターゼという酵素を体内に持っていますが、成犬になるにつれて母乳を飲まなくなるのでこの酵素が減っていきます。子犬は下痢で衰弱して死んでしまうことがあるので、特に与えないほうがいいでしょう。
チェダーチーズなど、加工したものはさらに栄養価が濃縮されていますが、なるべく塩分の少ない犬用のものを選んだほうがいいですね。
大人になると乳糖不耐症が出やすい理由
大人になると乳糖分解酵素が減ってしまうのは人間も同様です。こうして、乳糖への耐性がなくなっていくため、子どものときは大丈夫だった牛乳が、大人になるとお腹がゴロゴロするようになるのです。もちろん個体によって差があるので、大人になっても大丈夫な人もいます。また、継続的に牛乳を摂取することで酵素を維持しやすくなると言われています。
犬にどうしても牛乳を与えたい場合
子犬には与えないことをオススメしますが、成犬の場合であれば絶対にダメとまではいえません。犬に玉ねぎやチョコレートを与えることは中毒症状を引き起こすので絶対ダメですが、牛乳の場合は下痢をすることが多いというだけです。少量与えてみて問題がないのなら、その程度の量は与えても大丈夫です。考え方としては少量与えて様子をみるのが大事ということです。
少量でも下痢をするようなら、耐性がないということですので牛乳を与えるのはやめましょう。もしくは乳糖が少ないものやペット用の牛乳を与えるようにしましょう。
子犬には、脱脂粉乳牛乳から取ったカゼインで作られた、犬用のミルクを与えます。人間用のミルクを与えると消化できずに下痢をすることがあります。また、タンパク質や脂肪などの各種成分が不足してしまいます。
総合栄養食を与えているのであれば、栄養素は全てカバーされていますので、牛乳を与えてまでカルシウムを摂取する必要はありません。
PS
ちなみに我が家の忠犬(見習い)こころは牛乳も乳製品も大好物でお腹を壊しません。食べ過ぎで便がゆるくなることはありますが。。ほんとうに個体によって体質が全然違いますね。