牛乳でお腹が痛くなる理由 ホモジナイズとノンホモジナイズ

脂肪球とは

搾ったばかりの生乳を放置しておくと、上部にクリーム層ができます。もしくはホモジナイズ処理しない牛乳を3~4日放置しても同じことが起こります。このクリーム層は脂肪球というものです。脂肪球とは乳脂肪分そのもので、牛乳中に小さな球状の脂肪の塊として浮遊しています。

脂肪球は牛乳の中に溶け込んでいるわけではないので、時間が経つと乳脂肪分と脱脂成分が分離して、脂肪球が浮いて表面に集まるのです。脂肪球の大きさは大小さまざまですが、およそ0.1~10マイクロメートルです(1マイクロメートル=1000分の1 mm)。このタイプの牛乳は容器を振り続けたり、かきまわし続けたりすると、牛乳中の脂肪級同士がくっつくので、自家製バターを作ることができます。

ホモジナイズとは

脂肪分だけが分離してしまわないように、この脂肪分を粉々に壊して、成分を均一になるよう処理することをホモジナイズするといいます。ホモジナイズされると、脂肪球の直径は1~2マイクロメートル以下の大きさにまで砕かれます。

ホモジナイズを行うと、乳脂肪分が分離して表面に浮いてしまうことがなくなるので、工場での超高温殺菌などの熱処理工程が円滑に進みます。また、このタイプの牛乳はかきまわしても自家製バターにはなりません。脂肪球同士がくっつかずに大きな塊にならないからです。

ホモジナイズされた牛乳をホモ牛乳と呼びます。ホモ牛乳では乳脂肪の分離がないので飲みやすく、消化がよくなり風味も均一になるといった消費者の利点があると言われています。逆に消化が良すぎてお腹が痛くなるという異説もあります。

別の記事でも說明しましたが、日本ではほとんどすべての牛乳が超高温殺菌牛乳です。牛乳パックの表示を確認されたら、分かると思いますが、130度2秒間殺菌などと表示されているものがそうです。スーパーに置かれているのは9割型これだと思います。ホモジナイズを行うと生産効率が上がるので、超高温殺菌牛乳の大量生産ができるのです。

ノンホモジナイズとは

ノンホモジナイズとは、ホモジナイズしていない牛乳のことです。つまり、脂肪球を均一化処理していない牛乳です。本来の脂肪球を傷つけないので胃液や消化酵素の働きをうけてゆっくりと吸収されます。

また、脂肪球におさまっていることが多い乳糖がむき出しになりません。この乳糖が牛乳を飲んでお腹が痛くなる原因ですので、乳糖不耐症の方が飲んでも、お腹が痛くならないケースが多いのです。

ノンホモで乳糖不耐症の症状が出にくくなる!?

ちなみに乳糖不耐症とは、ラクターゼという消化酵素の働きが弱く、牛乳を飲むとすぐにお腹がゴロゴロしてしまう症状です。ちなみに私もこれです。子どものときは全く問題ありませんでしたが、大人になってからは市販の牛乳を飲むとお腹が痛くなってしまうようになりました。ところが、ノンホモの牛乳だと痛くならないのです。自家製の搾りたての生乳をガブガブ飲んでもお腹が痛くならないので、やはり乳糖が脂肪球に包まれているためなのでしょうか。

乳糖不耐症については、日本人は生理的に牛乳や乳製品を分解しにくい体質にあると言われています。「放牧酪農の展開を求めて」という書籍で紹介されていましたが、乳糖不耐症と診断される人は、北部ヨーロッパ系白人で10%以下、南部ヨーロッパ系で30%であるのに対して、アフリカ・アメリカの黒人では65~100%、ラテンアメリカ系で45~94%、日本人では75~100%となっていました。

ノンホモとホモ牛乳のどちらがいいかは嗜好の問題なので、どちらでもいいと思います。ですが、牛乳はお腹が痛くなるから嫌という方はノンホモ牛乳を一度お試し頂いてはいかがでしょうか。もしかしたら、乳糖不耐症の方でも大丈夫かもしれませんよ。

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