牛乳の安眠効果については古くから研究されている
夜寝付けないときは、ホットミルクを飲むといいなんて聞いたことはないでしょうか?実は、牛乳の安眠効果の検討は1930年代にスタートされています。神経伝達物質に関する研究が進むにつれて、睡眠ホルモンとしてのセロトニンとメラトニンが重要な役割を果たしていることが分かってきました。睡眠ホルモンはトリプトファンを原料として産生されます。牛乳に安眠効果があると言われている理由
牛乳にはセロトニンの原料となるトリプトファンという必須アミノ酸が豊富に含まれています。ちなみに、このトリプトファンは体内では十分な量を合成できないので、食物から摂取しなければなりません。トリプトファンを摂取することで脳内物質であるセロトニンが生成され、さらにセロトニンが睡眠ホルモンであるメラトニンに変化するために安眠効果があると言われています。また、牛乳にはたくさんのカルシウムが含まれているのはよくご存知だと思います。カルシウムが不足していると、イライラしてしまうというのはよく聞く話ですね。逆にカルシウムをしっかりと摂取すると精神を安定させてくれる効果があります。こうしたトリプトファンとカルシウムの相乗効果によって、牛乳には安眠効果があると言われているのです。
「寝る前」に牛乳を飲むと安眠効果があることへの反論
牛乳には睡眠ホルモンの原料となるトリプトファンが含まれており、安眠効果があることはご説明した通りです。ですが、夜寝る前に牛乳を飲んでも安眠効果はないという意見もあります。どういうことか見ていきましょう。トリプトファンからセロトニンを経て、メラトニンに変化するわけですが、この変化は瞬時に起こるわけではありません。ですから、夜寝る前に摂取してもただちに安眠につながるわけではないのです。
また、牛乳200mlに含まれているトリプトファンは80mg程度ですが、快眠に必要なトリプトファンの量は500~600mgと言われています。ですから、1000mlの牛乳を1パック飲んでも足りないということです汗。寝る前にそんなに飲んでしまってはお腹壊しそうですね。。
結論
ということで、牛乳には安眠効果がありますが、睡眠ホルモンに変化するまでには時間が掛かります。したがって、夜寝る前に飲んだからといって直ちに効果があるわけではないということが言えそうです。ただし、これは牛乳の「成分」には飲んですぐに安眠効果を発揮するわけではないということですので、人によっては牛乳を飲むとよく眠れるというプラシーボ効果のようなものがあるかもしれません。ホットミルクを飲むとよく眠れるんだよねと効果を実感している方は継続してもいいのではないでしょうか。