インドは牛の生息数が世界一
インド人が牛をとても大事にしていて、牛肉を食べないというのはよく知られていると思います。これはインド人の大半を占めているヒンドゥー教では、牛はシヴァ神の御使いなので食べてはいけないことになっているからです。現在世界中には約15億頭の牛がいるそうですが、世界の人口が約74億人ですから、5分の1近くにもなります。そしてインドはブラジルに次いで世界で2番目に牛が多い国だそうです。これは公式な記録ではないので、断定はできません。インドの飼育頭数が世界一という方もいます。
では、なぜインドにはこれほどたくさんの牛が存在するのでしょうか?
インドでは牛がとても大切にされていることが大きな理由として考えられます。大切にされれば寿命が長くなるのは自然なことですよね。おそらくインドの牛の平均寿命は世界一なんじゃないかと思います。インドでは牛の寿命は12~13年とされています。そして、他の国に比べて殺されてしまう牛がとても少ないことも理由として考えられます。あとはなんだろうな、世界で二番目の人口であるインドでは生活維持のためにたくさん飼育されているからでしょうね。国土が広いために牛が増加し続けるために必要な食料が確保できる自然環境が整っていたこともあるかもしれません。
ちなみにインドは世界最大の酪農国です、2010年の生乳生産量は1億2千万トンで、日本の生産量の15倍もの量を生産しています。インドではベジタリアンが多く、食事も乳を利用した食材が多く利用されているようです。
水牛は信仰の対象外?
インドで生産されるお乳の6割程度が水牛から搾られています。水牛はインドの通常の牛よりも3倍から4倍の乳を出す上に(通常の牛は1頭あたり年間1,500kg程度)、乳脂肪分がとても濃く、8%もあります。バターを取るには最高でしょうね。水牛というと牛だから大切にされていそうなイメージですが、ヒンドゥー教徒の信仰の対象にはなっていないそうです。そればかりか汚らわしい存在として観られています。1頭あたりの乳量が多く、乳脂肪分の割合が高く、廃用時にと畜することによる収益が期待できるなどの理由(通常の牛は宗教上の理由でと畜が難しい)で多く飼われているんですね。品種が違うだけで扱いに激しく差があるのは気の毒に思ってしまいます。。
インドの野良牛は何を食べている?
インドでは街中を野良牛が歩いている姿をよく見かけるという話を聞きます。郊外であれば草資源も豊富にあるのかもしれませんが、街中でいったい何を食べて生活しているのでしょう?インドに旅をした方のブログなどを見ていると、マーケットや家のゴミ捨て場を漁ったりするそうです。また、頭のいい牛は八百屋さんの裏側で売れ残りの野菜や果物が捨てられるのを待っているのだとか。
でも、牛が十分に食べられるだけの野菜や果物が手に入るとは思えません。だからでしょうか、インドの牛の写真をみるとガリガリに痩せている個体も珍しくありません。それでも平均寿命は12~13年と日本の乳牛などと比べると倍です。
何にも束縛されずに自由を謳歌できるけどエサが足りずにガリガリなインドの牛、ロクに運動もさせてもらえず太陽の陽をあびることもないけど、おいしいものたくさん食べてまるまるしているの日本の牛とどちらがいいんでしょうね。
参照:インドビジネスがよく分かる中島敬二のインドコラム
http://nakajimaconsultancy.jp/%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%89%E3%81%AE%E7%89%9B%E3%82%92%E8%80%83%E3%81%88%E3%82%8B/