家畜伝染病を予防するために気をつけたいこと

2010年日本で大流行した口蹄疫

2010年に宮崎県を中心に大流行した口蹄疫という病気がありました。牛・豚・水牛に流行し、約30万頭弱の家畜が殺処分されました。畜産関連の損失は1400億円、関連損失は950億円とされています。そういえば大変な出来事があったなと思い出された方も多いのではないでしょうか。

口蹄疫とは何か

口蹄疫とは、口蹄疫ウィルスの原因により、牛、豚、水牛、めん羊などの偶蹄類が感染する病気です。伝染力がきわめて強いため、一度侵入すると大流行を起こしてしまいます。宮崎県を中心とした大流行の事例では3月頃に発生し、7月4日に収束確認されるまでに先述した大規模な被害につながりました。

主な症状としては、40℃前後の発熱とよだれが見られ、口や蹄あるいは乳房に水ぶくれがほとんど同時にできるそうです。口蹄疫に感染した場合、子牛や子豚では死亡する場合がありますが、成長した家畜の死亡率は数%程度です。

水ぶくれが破裂してしまった場合は、接食や歩行に支障がでるので体力を消耗します。また、乳量や産肉量が減少するために畜産業に大きな損害を与えます。だからこそ、致死率は高くなくても、他の偶蹄類動物にうつらないよう徹底した措置をとることが必要なのです。

牧場は公共の公園ではない

最近はだいぶ減りましたが、少し前までは当牧場へ無断で立ち入る方が多くて困っていました。写真のように敷地内入口のゲート、放牧地入口のゲートの二箇所に柵を設置しております。それでも、入ってきてしまう方がいるんです。なぜなんでしょうか。確かに柵を潜れば入れます。引っ掛けてある柵のフックをはずしても入れます。絶対に誰も入れない状態にしたらお世話ができないので当然ですね。


でも、立入禁止の看板が設置され、電柵も張られている。物理的に侵入できるかどうかの問題ではないはずです。牧場は、公共の公園ではありません。関係者以外が自由に出入りできる場所でもありません。もし畜主の許可を得て、立ち入る場合であっても、家畜伝染病予防法に定められているいろんな制約があります。

・衛生管理区域を設定し、その区域内及び蓄舎に立ち入る際の消毒をすること。

・来場者名簿の作成及び一年間の保存(感染ルートの早期発見のため)。

・過去四ヶ月以内に海外で使用した衣類及び靴を衛生管理区域に持ち込まないこと。

これはごく一部であり、他にもいろいろとあります。もちろん、あなたがこれらのルール全てを理解する必要はありません。ただ、牧場とはそういう場所なんだと認識し、自分勝手なルールを押し通さないで頂ければ、それでOKです。

公務員のモラルが低下している!?

不思議なんですが、勝手に立ち入ってしまう方は公務員及び準公務員の方が多いです。彼らは職務で頭数確認や農地の利用状況を確認しなければならないこともあります。ただし、それは畜主の許可を得て、確認しなければならない義務を負っているだけで、勝手に立ち入る権利があるわけではないはずです。

これまで役場の方が複数回、農業共済職員の方たちなどが無断で立ち入りされています。役場の方に至っては入り口の柵をはずして、車で侵入して溝に脱輪し、牧柵の支柱を倒してしまってました。しかも部署しか名乗らずに逃げるように退散してしまいました汗。ちょっと常識を疑ってしまいますね。

口蹄疫に限らずに複数箇所の畜産施設に立ち入ったりする立場の方はウィルスや細菌を伝搬してしまう可能性が高いです。その分、靴の消毒なども細心の注意を払わなければなりません。ぜひとも勉強し直して、徹底していただきたいですね。現在は、牧場見学の受付はしておりません。将来的には、牧場の考え方に共感して頂いた方限定で、事前に連絡を頂ければできる限り対応したいとは考えています。

最近はSNS投稿用に許可なくむやみやたらに撮影してしまう方も多いですが、勝手な自分ルールではなく、社会のルールや道徳に基いて判断していけたらいいなと思います。

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