生態学で生物と環境の関わり方を考える

生態学とは何か

生態学とは、「生物」と「環境」との関わりを研究する学問です。生態学という言葉は1970年代に世間一般に認知されるようになりました。高度経済成長に伴う水質悪化や大気汚染による公害問題がきっかけです。

それまでの日本人は、昔から自然に溶け込むような生活をしてきました。変化のある四季を肌で感じながら自然の恵みに感謝して、時には自然の脅威にさらされながらも、自然の理にかなったような生き方をしてきました。

ところが、20世紀に入り、国力の増強や科学技術の発展により、自然を克服・征服する対象と考えるようになり、自然の理にかなわない振る舞いをするようになりました。その結果がさまざまな環境問題です。

人間活動がもたらした環境悪化の解析のために、生物と環境の関係が注目され、生態学という言葉が認知されるようになつたわけです。

なぜ生態学の記事を書き始めるのか

なぜ、牧場のホームページで突然にも生態学というテーマについて記事を書き始めるのかを說明いたします。

私は大学で、公共経済学という学問を専攻し、卒業論文では環境をテーマにしました。兼ねてより環境問題に関心があったためです。「湖沼水質改善のための経済的手法の考察」というのが私の卒論のタイトルです。

人の健康を考えたとき、山や川や海、そして空気。あらゆるところが汚染された環境で健康なんてあり得ないと思いました。他の生物が消えていく環境は、人間にとってもマイナスです。世界で最も病気の原因として多いのは水の問題です。だから、水の環境問題を解決したくて、水処理事業をしている会社に入社しました。

でも、現実を見て愕然としました。大企業でさえも、汚水は水で薄めて法基準さえ守っていればいいという感覚。目先のお金を生まないものに投資などしません。そして、肝心の法は経済の都合で決められています。

永遠に失われる資源や消えていく生き物のことは後回しです。私は、人間の生き方自体を見直さなければ環境問題は解決しないことに気づきました。

だからこそ、自然の循環に則った乳牛の放牧飼育を志しました。アプローチの方法は変わりましたが、目的は変わっていません。これが生態学という、生物と環境との関わり方をテーマに記事を書こうと思った経緯です。

生態学を学ぶ意味と目的

環境問題について考えていくためには、まず自然のしくみを知らなければなりません。全体的な生態系の仕組み、そして生物の細かな現象のどちらの知識も必要になります。

生態学は環境問題解決のためのいわば土台となる知識です。自然との接し方が間接的になってきた現代において、自然の力や周囲の動植物との関係をしっかりと学び、生活の管理方法を考えて構築していくことが必要です。

持続可能な社会という言葉もありますが、人も生態系を構成する生物として、生態学に沿った本来あるべき経済活動を進めていかなければならないと思います。そのためには知恵が必要で、知恵を生み出すためには土台となる基礎知識が必要です。

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