乳牛の休息行動

乳牛にとって効率的な休息方法とは?


休息とは、疲労からの回避や回復のために運動を中止したり、減らしたりして、体のエネルギーの消耗を減らしている状態の行動を指します。牛は、人間のように横たわって寝ることがほとんどありません。立ったまま休息するか(以後、立位という)、座った姿勢(以後、横臥おうがと呼ぶ)をとって休息することが多いです。

心拍数から推測すると横臥姿勢が最も発熱量が少ないそうです。このことから、本格的な休息は横臥でするということがいえそうです。飼育環境にもよりますが、大体一日の8~12時間程度横臥します。



牛は放牧地のどこを休息場所に利用するのか

休息場所は放牧地が平たんか傾斜地か、また広いか狭いかによって異なります。基本的に牛が休息場所として好むのは「比較的柔らかい」、「乾燥している」、「平たん」なところと言われています。水場に近いとか、夏であれば避陰樹が近いとかによっても左右されると思います。

放牧している牛では、夏の暑い日には木陰などで避陰している時は立位で休息していることが多いです。イチローファームでは、放牧地の一部が竹林になっているので、暑熱時には竹林で立息して過ごしています。また、激しい雨の時も立っています。



盛夏時につらいのは暑さだけではない

休息とも関連するのですが、盛夏時に牛につらい思いをさせるのは気温だけではありません。気温の上昇とともにアブやハチ、蚊やブヨなどの活動が活発になり、これらの刺咬(しこう)性飛来昆虫の襲来も牛たちを苦しめます。

牛はこの時、虫に刺されやすい横腹を互いにくっつけあって飛来昆虫から守ります。それぞれが尻尾をブンブンと振り回して、互いに効率よく虫を追っ払おうとするのです。暑いのに体をくっつけあうくらい仲良しなんだなと思っている方、違いますよ笑


自然放牧していると、牛たちは選択しながら行動する

少し話は逸れるかもしれませんが、以前20頭ほどを周年放牧している牧場で勤めていた時のことを思い出します。当時事故が多かったので、夜間に放牧地を見回りしたりしていたのですが、牛たちが突然に林の方に向かっていきました。のんびりと放牧地で横臥していたのに一斉に動き始めたのです。

どうしたんだろうなと不思議に思っていると、牛たちが動き始めてから5分くらい経った頃でしょうか。急にどしゃ降りになりました。牛たちはこれから雨が降ってくることを察知して、事前に避難していたようです。私は、放牧地でびしょ濡れになりながらもなんだか嬉しくなった思い出があります。

暑い日中や雨のときは木陰で立息し、蒸し暑い夜は風当たりのいい丘で横臥して休みます。自らの意志をもって快適に過ごせる場所を選んで、休息しているんですね。人間と同じようにデリケートで柔軟性のある生き物ですから、環境に合わせて時々刻々と行動を変化させています。牛へのイメージが変わったのではないでしょうか?

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