久しぶりの更新です。本日、我が家の愛牛サヤちゃんが5歳の誕生日を迎えました。これで今年の誕生日は無事に終了しました。みんな無事に年を重ねることができてよかったです。
変わった子
正直、サヤちゃんほど愛らしくない子牛は初めてでした。指を差し出すと他の子牛はちゅぱちゅぱと吸ったりすることが多いのですが、サヤちゃんだけは強く噛んだまま引っ張る引っ張る・・・。しかも、しょっちゅう脱走する上にすばしっこすぎて中々捕まりません。サヤちゃんは生まれたときから運動神経抜群でした。自分の背丈より高い壁を三角飛びで乗り越えたり、逆に低いところは背中を反らせたり、ほふく前進のような格好で突破するという特技を持っていました汗。
単純に経済動物として見てしまうと、個性が強すぎて秩序が乱れてしまう子と言えるかもしれません。エサを食い散らかす癖もありますし、まさか自分が買い取って飼うことになるとは夢にも思いませんでした。
予定になかった買い取り
イチローファームは当初、スティッチとイチロー君の2頭から始める予定になっていました。もともとはスティッチ、イチロー君、サヤちゃんと他に2頭を合わせて5頭一緒に幼馴染として育てていましたが、全てを買い取ることは難しいので2頭だけの予定になっていました。
ところが、サヤちゃんは放牧地での事故とお産の事故で2回死にかけ、数ヶ月間も体調が回復しないまま隔離されていました。放牧地で遊んでいる幼馴染の4頭を眺めながら、目に涙を浮かべていたのが印象的です。
経営的にも苦しい牧場だったので、事故が起きないように隔離はされているもののエサは十分にはもらえていませんでしたので、毎晩わたしがエサを差し入れしてやっていました。しかも、回復は難しいということで屠畜することがほぼ決まっていました。
幼いころからみんな一緒に育ったのに、この子だけがこんな思いをするということが私には受け入れられなかったので、無理をして買い取ることに決めました。
買い取った時はガリガリで体格も小さかったですが、ずいぶん立派になりました。買い取れなかった2頭や同い年くらいの牛たちはほとんど全滅してしまったそうです。
生まれてきてよかったねと言える牧場を目指して
この子自身、お産の事故で子宮を損傷して受胎しづら状態です。なんとかこの子が生きている意味を見出したくて、日本初のカウセラピストを目指しています。経済動物であることを否定する気はないけど、牛が持っている経済的な価値ってお乳やお肉や乳搾り体験だけではないはず。この子たちが持っている価値や魅力はもっとたくさんあるんじゃないかと私は思っています。
一般的な経済動物としては不合格でも、自然というフィールドの中で牛らしく生きていく姿を見せてくれることに関してはサヤちゃんがピカイチ。ホースセラピーと森林セラピーを足して2で割ったようなイメージを実現できるよう頑張ります。