初乳の役割と子牛の成長

子牛の誕生

ホルスタイン種の場合、雄は40~50キロ程度、雌は35~45キロ程度の体重で生まれてきます。子牛は生まれてすぐに母牛から離されて、カーフハッチと呼ばれる専用の小屋に移されます。

生後3日間から1週間は母牛の初乳を哺乳瓶で与えられます。初乳は通常のお乳に比べてビタミンやミネラルが高く、免疫グロブリンと呼ばれる病気に対しての抵抗力をもつ成分が多く含まれています。



初乳の重要性

牛の胎盤は、母牛から胎児に十分な免疫抗体を移行できないタイプになっています。そのため子牛は生まれたときは抵抗力を持たないので、この初乳をしっかり飲ませることで健康な牛に育っていきます。

免疫グロブリンをうまく吸収できるのは24時間以内と言われています。しかもその能力は時間経過とともに低下するので、できるだけ早く初乳を飲ませることが必要です。

イチローファームでは母子ともにしているので、哺乳やその他の子育てはお母さん牛の役目です。母子ともにしている場合には、子牛は早ければ30分ほどで立ち上がり、母牛のお乳を探し始めます。



子牛の胃が発達するまで

1週齢を過ぎると、粉ミルクや牛乳(母乳)、固形飼料を給与します。良質な乾草も徐々に与え始めます。生まれたばかりの子牛は草の繊維を分解するためのルーメンと呼ばれる前胃が発達していません。

あまり知られていないかもしれませんが、草の繊維分を分解して栄養に変えてくれるのは牛の胃の中にいる微生物や細菌たちたちなのです。

出生時に無菌状態だったルーメンには生後およそ24時間で細菌が出現しますが、成牛のルーメンにみられる細菌とは異なっています。生後1週間で成牛と同じ細菌が増え始めて、2週齢くらいになると定着してきます。この頃には反すうも開始されます。さらに10日もすると成牛と同じくらいの反すう時間となります。



母子ともに放牧すると・・・

イチローファームでは、母子ともに放牧しています。子牛は2日目までは元気があまりなく、ほとんど寝ていることが多かったです。でも、3日目からはお母さん牛にくっついて歩き、青草をつまんだりしていました。同じように乾草も食べ始めました。

実際には消化する能力はないはずですが、お母さん牛の唾液のついた草を体内に取り込むことで菌の定着が早くなっているのかもしれません。草の食べ方や放牧地の危険な箇所、暑い時に避難する涼しい場所や水はけの良い快適な寝床などいろんなことをお母さんのマネをしながら覚えていくようです。

ちなみにイチローファームではお母さん牛だけでなく、お父さん牛や親戚のおばさん牛も一緒に居ます。子牛が小さい時はみんなで子牛を守るように囲んで寝ていることもよくありました。群れの動物ですから、助け合いながら生活しているみたいです。

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